「ストリップの生板」 − 踊る阿呆に見る阿呆
初めて他人のセックスを目の当たりにしたといえば、やはりストリップの 本番生板ショーである。ストリッパーと男性ストリッパーが絡むものもあれば、 客が舞台に上がりストリッパーに一発ぶち込むというパターンもある。 私が見たのは後者の方で、もちろんチキンハートのこの私が舞台上で租チンを晒し ヘコヘコ腰を振るだけのチャイルドなセックスを人様に見せられる訳がないので、黙って他人の セックスを見させてもらった。 その劇場は名古屋の鶴舞公園のほど近くにあり、いかにも生板ショーをやっていそう なので入ってみる事にした。 中はかなり狭い。ストリップ劇場というよりはストリップ小屋である。 客は10人ほどしか居なかった。入り口横のちょっと明るい自販機コーナーにはパンチパーマで 薄いグラサンの{いかにも}な男が座っており何だか怪しい雰囲気を醸している。 まず日本人のCクラスな女が踊る。何だかやる気を感じられない。負のオーラが劇場全体を 包んでいるようだ。が、逆に私は期待した。{ここは間違い無く生板ショー}があるな。 次々とやる気の無い女が現れては消えてを繰り返すしていたが、突然角刈りのロシア風の 女性が登場した。そのロシアンはただ全裸になって歩き回りすぐに舞台奥に消えてしまった。 {なんだありゃ?} そう思った途端怪しげなマンボが鳴り始め、場内アナウンスが流れた。 「ハッスルタイム!希望者は舞台へどうぞ」 同時に、ヨボヨボのじじい(客最年長)が舞台に飛び乗り回転テーブルにデンと座った。それは 一瞬の出来事だった。あのヨボじいの足腰にどんなバネが隠されているのだ? じじいがライトに照らされてクルクル回っている。後光が差しているようで即身仏のようだ。 「決まったようですね。では頑張ってください」 先ほどのロシアンが再び全裸で現れ、じじいのズボンとパンツを一気に引き下ろし、舞台の はしに抜け殻のように置いた。じじいは回転しながらフニャちんを晒していた。 ロシアンは次にじじいにオムツのようなモノを付けた。 分かりにくいだろうが簡単に言えば、状況としては1枚の布に丸い穴が開けられていて、 そこからポコチンだけ外に出すような格好だ。ちょうどブリーフを履いて前穴からチンコだけを 露出した状況を思い浮かべてもらいたい。(どちらにしろトホホ、ですよ) ※これは毛じらみ防止だそうです。あとで人に聞いて知りました。 しかし、このクソじじいが起つのか?とてもじゃないがこのじじいのチンポがいきり起つ 場面を想像できなかった。 そしてやっぱり起ちませんでした。とほほ。じじいが舞台の端でズボンを上げる姿が痛い。 というか何しに舞台に上がったんじゃ。身のほど知らずめ。 「ハッスルでしたー。はい次の人ー。」 おいおい、アナウンス係。お前も何がハッスルだ、じじいちっともハッスルしとらんやんけ。 勢いあったの登場した時だけやがな。 「次の方」 本当はひとりで終わりなのだろうが、仕方なくアナウンス係は次の挑戦者を募った。舞台では じじいを返り討ちにしたロシアンが無表情にたっていた。(じじいは自滅しただけですが) さて、何やかんやで目の前では次の中年のおっさんがヘコヘコ腰を振っていた。 なるほど、一般人のセックスとはああいうモノなのか?ふむふむ。なるほそ、ほほーっ。 トントン。 ん?私の肩を後ろから叩く人間がいた。 今は取り込み中なんですよ。しかし振り向くと自販機コーナーにいたグラサンパンチである。 グラサンは私の耳元で囁く。 「おい、ちょっと」 「な、なんスか?」 「ちょっとこっちに来てくれんか?」 「…」 グラサンは{いいから来い}と言わんばかりの態度で手招きした。 何ですの?勘弁してくださいよアニキ。 金はどうせ持ってないけど。それとも僕、掘られちゃうのかしら。参ったな、真珠入りかもしれんぞ… 奥の自販機コーナーからまだグラサンは私に手招きしている。誰か助けて。 大体わたしはチンポのでかい奴と暗いところでグラサンをかけてる人間は信用しないんですよ。 私は気がつくと次の瞬間、猛ダッシュで出口に向かっていた。そして店の外に一目散に飛び出し、 息が続く限り走り続けた。この一瞬の判断は自分で言うのもなんだがドンピシャのタイミングだった。 全盛期の高木豊を彷彿とさせるほどだった。 この猛ダッシュは映画館でホモに襲われそうになった19の夏以来である。 ※この話はまたの機会にでも。(UPしました) しかし、あれは一体何だったのだ?もしかしたらヤクの売人かも知れん。そんな気もする。 もしくは割と若いぼくが舞台で腰をふるのを見たがるその筋のお方かもしれん。 しかし逃げだしたチキンマンには真相は一生藪の中である。 結構な入場料も払ったし、まだ半分も見てないし、他人のセックスも途中だったのに…。 まったく、グラサンパンチめ!何を企んでいたのだ。苦い思い出だ。 しかし、今でも私は正しい判断をしたと思っていますけどね。。。 当たり前だがこの小屋にはそれ以来行っていない。誰か最近行った人いたら情報ください。 (完) |